《MUMEI》 おでん協奏曲=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=* ―――…その夜。 S専務「…熱燗をくれ……。 …あと、牛筋と大根とちくわぶも…。」 赤提灯のぶら下がる、おでんの屋台で一人… 手酌で日本酒をすする食パンマン専務がいた…。 経営層にまで昇りつめた最近では、高い店で酒を呑むことが常になってしまった食パンマンだったが… 仕事で失敗したとき……仕事に行き詰まったとき……また悩みを抱えたときには、この場末の屋台を訪れるのが、営業職時代からの慣習だった。 屋台の親父……おでん君おじさんも、そんな常連客の心の内をよく分かっている…。 おでん君「おまちど…」 コトリッ …と置かれた小皿の上には、注文したおでん種のほかに、キツネ色になるまで味の染みた卵が添えられていた…。 前へ |次へ |
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