《MUMEI》

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わたしは唇を弓なりに歪めて、笑う。


「…そうそう、ミステリーだったわ」


押し殺したような低音ボイスを聞いて、

金井さんはカタカタと震え出す。


そんな怯えた彼女を見つめて、

わたしは女神のようにほほ笑んでみせた。


「さっすが、金井さん。ストーカーの情報量は、違うよね〜」


わたしの声に、

クラスメイトたちが、眉をひそめた。


「え?《大福》が??」


「ストーカー??」


「松本先輩のストーカーって、あの有名なやつ?」


「マジで?きっしょー!!」


騒然とする中、わたしは一歩、金井さんに近寄った。


「松本先輩のストーカーって、あんたなんでしょ?」


金井さんは、蚊の鳴くような声で、違う…と呟いたが、わたしは無視した。

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