《MUMEI》 . 彼女は興奮しているのか、勢いが衰えぬまま、つづける。 「ちょっと美人だからって、男子に……櫻井くんに色目つかって!しかも、あげくに松本先輩にまでちょっかい出してさ!! わたしなんて、中等部の頃からずーっとスキだったのに…なんで、なんで外部生のあんたが…美人だってだけで…」 わたしは黙っていた。金井さんはまくし立てる。 「わたしだって、痩せたら美人なんだよ!!それなのに、みんなバカにして…!!松本先輩なんて、こんなに想ってるのに、わたしのこと、見てくれもしないし……!!痩せたら、きっと、わたしだって…」 まだブツブツ繰り返す彼女の襟を、わたしは締め上げて、睨みつけた。ゆっくり、拳を天井に向かって翳す。 わたしの凄みのある目つきに、彼女は怯えたが、気丈にも、な、なによ!!と言い返してきた。 「な、殴る気!?殴ってみなさいよッ!!」 生意気にも、そう言ったので、 −−−ゴッ!! リクエスト通り、横っ面を殴りつけてやった。 . 前へ |次へ |
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