《MUMEI》 . 返事をしようとしたとき、 先に、川崎先生が言った。 「もし、それでも構わないと…立ち向かう覚悟があるなら…」 そこで、一言区切り、 それからつづけた。 「好きにしたらいい」 わたしは、目を見張った。 川崎先生は諦めたような顔をしていた。 「今後、君の身になにが起こっても、自己責任だ。俺は、知らない。勝手にしたらいいさ」 言い終えると、川崎先生は、よっこいしょ…と掛け声を言いながら、ベンチから立ち上がる。 わたしに背を向けたまま、一度、大きく伸びをして、 それから、思い出したように、言った。 「昇降口のまえに、義仲さん、いるけど?」 肩越しに振り返り、どうすんの?と、付け足された。 …………どうするも、なにも。 決まってるでしょ? . 前へ |次へ |
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