《MUMEI》

すっかり、不機嫌オーラを放つ俺に彼女は堪えられなくなったのだろう。

「別に。もう気にしてないから。」

彼女が悪くないのは分かってたから、そっけないけれど、そう俺は言った。

「そっか。よかった。」

ちらり、と彼女の方に目をやると本当に嬉しそうに笑ってた。

「みんな、五月蝿かったでしょ?変わんないなって。」

返事をしない俺に構わず、一宮は、楽しそうに、小さな声で話していた。

「どうゆう関係なんだよ?お前、昔住んでたのか?この辺。」

何と無く、聞いていた。

「うん。幼稚園の時まで。みんな幼馴染みだよみんな。」

にっこりと、彼女は人懐っこくわらう。

「澪も、永久もね。みんなずっと仲良かったんだ。」
くすり、と笑うその顔はとても楽しそうだ。

「あの、カヅキってヤツは?」

さっき挙げた名前にカヅキはなかった。

「お兄ちゃんだよ?」

………

「…………は?」

我ながら府抜けた返事だとは思ったが、そこは気にしないでおく。

「だから、お兄ちゃん。まぁ、双子の。だけどね。」

「……双子……」

まぁ、それなら、辻褄が合う。

………が。あまりにも、

「似てねぇ……」

ポツリと思わず呟いてしまった。

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