《MUMEI》 . 千影はだるそうに頬杖をつきながら、わたしにぼやく。 「義仲のこと、あんなに嫌ってたクセに」 わたしは、最初はね!と力強く頷き返した。 「初めて会ったときは、《このバカ、どーやって陥れてやろうか!》って、いつも考えていたわ」 ひとのパンツを御開帳させたり、 ハイキックを笑われたり、 鼻血見られたり、 大切なデートを邪魔されたり、 義仲に逆恨みした不良にからまれたり、 無理チューされたり……etc 今まで義仲にされた嫌がらせを、指折り数えて語るわたしに、千影は半眼になる。 「じゃあ、どーして付き合おうと思ったのよ」 わたしは、待ってました!と言わんばかりに千影に詰め寄る。 「それがね!!いろいろあって、わたしと彼は…」 生き生きと話しはじめたわたしの顔面に、 どこかから飛んできた、丸めた雑巾がクリーンヒットする。 . 前へ |次へ |
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