《MUMEI》 . わたしはチラリと義仲の方を見た。 彼は野球ごっこに飽きたようで、近くにいたメガネ男子のメガネを奪い、いじめていた。 …………そう。 あんな、ヤツ、とは……。 わたしが、一抹の不安を覚えていると、 千影もわたしの視線を追い、義仲のアホな姿を見て、 ぽつんと呟いた。 「あんな猛獣、手懐けられるの、あんたしかいないか」 …………って! わたしゃ、猛獣使いかよッ!! 「やめろ、その言い方ッ!!全然セレブっぽくないから!!」 わたしが千影の襟首を掴みいきり立つと、千影は、だってホントのことじゃん、と平然と言い返した。 . 前へ |次へ |
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