《MUMEI》
夜を歩く
夜を歩くのが好き。

夏なら薄手の、
カーデガンをはおって。
冬なら黒い、
ブーツを響かせて。

ゆっくりと。
でも、大股で。

空を仰ぎながら。
月の光を浴びて。





田舎育ちだから。
夜は優しいものだと、
思っていた。



畦道の、草の香りは。
夏の暑さも耐え凌ぎ。
冬の寒さも耐え凌ぎ。
大地の下で息づいてると。
いつも、いつも、
伝えてきたのに。
この街では無言のまま。
アスファルトに。
踏み潰されている。


時に、
還りたいと思う故郷は。
遥か遠くに、
佇むばかりで。
名残の景色を、
写真に残す。

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