《MUMEI》

俺の動きはとまる。

いま、何て言った?

俺の部屋‥‥‥?

「………何でだよっ!?」

俺が吠えると、母さんだけじゃなく、帝までキョトンとする。

「どうしてって……剣……仕方ないじゃない。帝君、部屋ないんだし」

さも当然。とでも言いたげに、母さんは首を傾げる。
「剣、俺と一緒ってそんなに嫌?」

悲しそうに目を伏せる帝。
元々造りのいい顔で、そんなことをされれば、痛まなくていい良心がチクり、と痛む。

「嫌じゃないけど」

こういうところで正直に言ってしまうのは俺の良いところなのか悪いところなのか。
前者であってほしいと願わずにはいられない。

「なら、問題ないじゃない。」

母さんはにっこり笑うと、そう結論付けた。

「じゃあ、俺の部屋こっちだから。」

俺は諦めて、帝を自分の部屋に案内する。



部屋に着くと、俺はカチャリとドアを引き、帝を中に招き入れた。

「あれ?意外………」

開口一番。帝はこんなことを言った。

「何がだよ?」

つい、口調がキツクなってしまった。

「部屋、片付いてる。」

ムカッ………

「意外って何だよ。部屋片付いてた方が効率良いし。」

俺のイメージはどうなってるんだ。

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