《MUMEI》
ナイフ責め
「ハッ…」
仁美は目を覚ました。覚悟はしていたが、作業台の上に仰向けに寝かされ、大の字で手足を拘束されて無抵抗。仁美は叫んだ。
「やだ、ほどいて、ほどいてください」
甘い声は狼の心をくすぐるだけだ。下着は脱がされていない。本当の悪党なら容赦なく全裸にしているはず。仁美はそう思い、わずかな可能性に賭けた。
「俊介君。ほどいて、お願いだから」
「獣は、せっかく捕獲した獲物を、逃がしたりはしないよ」
仁美は優しい目で俊介を見つめた。
「あなたは人間でしょ。獣なんかじゃない」
「仁美」
俊介は仁美のおなかを軽くさすった。
「やめて」
さすがに慌てる。体だけは許してほしかった。
「仁美。ダンナにいきなり顔面殴られて、凄く痛かったよ」
「すいません。謝ります」
俊介は仁美の顎を指で掴むと、グイッと上向かせた。
「あっ」
さらに顔を殴るポーズ。俊介は拳を仁美の頬にゆっくり当てるまねをした。
「ダンナ殴ったって面白くとも何ともないからさあ、夫の罪は妻の罪でしょ?」
仁美の額に汗が光る。
「それであなたの気が済むなら」
「ホントだな、よーし。じゃあ歯を食いしばれ」
まさか本当に殴る気か。痛みを知らない世代。仁美は嫌な言葉を思い出した。
「さあ、腹筋に力を入れろ」と言いながら顔に拳を当てるまね。
「腹筋に力入れたか?」
「ええ…あう」
まさかおなかに来るとは。
「げほ…ダメ、おなかはやめて」
しかし俊介はまたおなかに拳を向ける。
「さあ、腹筋に力入れな」
「ダメ、死んじゃう」
本当に苦しそうなので、俊介はおなかをさすった。
「大丈夫か?」
「乱暴はやめて、お願いですから」
「そうはいかないよ」
俊介は再びナイフを出した。仁美の顔が凍りつく。
「危ないからしまって」
刺す気はないと思う。しかし手もとが狂うということがある。だから仁美はかすれる声で訴えた。
「俊介君。ナイフはしまって」
「やだ」
俊介は何を血迷ったか、ナイフを仁美の秘部へ。そして、いちばん大切なところをショーツの上からナイフでペタペタと叩く。
「やあ…」
仁美の顔が歪む。腰を動かせない。
「やめて、ひど過ぎる」
「仁美。失禁させてあげようか?」
「やめて、ダメ」
「失禁させてあげようか?」
「そういうことはやめて」
息が荒い仁美。俊介は面白がってナイフの先をショーツに滑らせる。
「やだ…」
仁美はされるがままだ。脱出不可能か。

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