《MUMEI》
最後のプレゼント
俺と、忍の恋人期限は卒業式までで


当然、今回が最後のバレンタインになった。


(去年より凝った物って言われてたけど…)


忍の技術には遠く及ばない俺は、今年はあえてシンプルな物に仕上げ、仕事で来れない忍の為に、バレンタインに届くように送っておいた。


「て、同じ事考えてるし!」


忍から送られてきた


巨大なハート型クッキーを見た時、俺は思わず叫んでしまった。


俺は、忍に


巨大なハート型チョコレートに


『愛しの忍へ』


そう、三年間書道を学んだ成果を見せつけるように


ピンクのチョコペンで、達筆にかなり大きく書いたのだった。


それに対して、忍もピンクのチョコペンで


こちらも、かなりの達筆で


『永遠に愛しい祐也へ』


そう、書かれていたのだった。


(何か、負けた気がする)


俺は、思っても忍には言わなかったが


《最後も俺の圧勝だったな》


その夜、忍はご機嫌だった。


そして


《後は、卒業式だけだな。

…覚悟しとけよ》


物騒で、意味不明な発言をした。

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