《MUMEI》

「それで──何で観覧車なんだ?」

「デートって、2人で観覧車乗ったりするんでしょ?」

「ぁ──そうだっけ」

「ちょっとぉ、そんな事も知らないの?」

「聞いた事はあるけど──那加小さい頃はあれ苦手じゃなかったか?」

「ぅ‥うるさいわねっ、昔の事じゃない」

「!!っ‥スイマセン」

「ふんっ」

「ぅ‥」




‥まずい。





「怒らせ‥‥‥た?」




ぽすっ、と背中におぶさってきた、姫サマ。





「これで今日は許してあげる」

「ぇ」

「だからジッとしてて」

「──ハイ、畏まりました」





照れてると、そっぽを向いて。




甘えたいと、強気になって。





いつだって俺を惑わせる。





俺は、そんな小悪魔な姫の召使。

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