《MUMEI》

「そんなに難しかったですか?」


「‥だって複雑なんやもん」


「それでも──少しはお分かりになったんですよね?」


「ちょっ‥勘違いすんなや!? あたしは‥」


「強情ですね──」


「どっちが‥」


アンタかて負けてへんやん。


「にしても‥こないな話‥書いた方も書いた方やな‥」


「──光栄です」


「‥? 何であんたが」


「この本を書いたのは僕ですから」


「はぁ!?」


ちょお待てや、どういう事‥?


「あんたが‥書いたん‥?」


「はい」


サラッと言ってのけた。


「ほんまなん‥?」


「本当ですよ──」


「アンタ‥‥‥」


「そうですね──この際ですから明かしましょうか」

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