《MUMEI》

「ええ、でも、こういう問題もこの学校じゃ普通よ。一宮さんも慣れてね。分からなかったら良いわよ」

確に、ここではこういった問題も普通にテストにも出る。

「いえ、分かりますけど。ちょっと難しいなって」

俺は、耳を疑った。

「え。分かるの?一宮さん。」

小笠原も目を丸くしている。

「分かりますけど。」

そういうと、一宮はいとも簡単に黒板に数字を並べた。

「せ……正解よ。」

唖然とするのは小笠原だけじゃない。
俺や、他の生徒も同様だ。
「えっと……戻っても良いですか?」

心配そうに小笠原をみる一宮に小笠原は、ええ、と一言答え、一宮はにっこり笑って、俺の隣の席に帰ってきた。

「お前、頭いいんだ。」

さっきの会話からは、決して想像もつかない。

「そんなことないよ。」

そう言う一宮の表情には、イヤミったらしい所や、自慢気な所もなくて、普段の負けず嫌いの俺なら、ムッとしたところなのなのだろうが、不思議とそんなことはなかった。



それからは、俺と一宮も無駄話をせずに、一限目の授業は何事もなく終わった。

しかし、問題があるとすればここからで、この十分間の休憩が問題なのだ。

「陽和。」

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