《MUMEI》

「ちょ‥ちょお待って」


「何か?」


「ふー‥‥‥。ええよ」


「2年程前まで本を書いてたんです」


「ぇ‥2年前言うたら‥アンタがここ来た頃やんけ」


「仰る通りです」


「いつからやっとったん‥?」


「5年程前です」


「‥今23やろ‥? ‥えっと‥‥‥18‥!?」


「そういう事になりますね」


「『なりますね』て‥」


どんだけやコイツ‥。


「今はもうほんまにしてへんの‥?」


「ええ、こちらで働くには些か不利でしたから」


「どんな理由やそれ‥」


「──今の仕事の方が楽しいんです」


「あたしをいいなりにさす事が、やろ‥?」


「そうでもないですよ──」


「思いっ切り楽しそうやんけ‥」


コイツ‥思てた以上に手強いヤツかも知れん‥。

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