《MUMEI》

.

なにも気づかないおじいちゃんは、春蘭さんに向かって言った。


「それじゃ、春蘭さんは、窓側の一番後ろの空いてる席に…」


言いかけた、そのとき、


春蘭さんの視線が一点に定まり、

パッと表情を明るくさせたかと思うと、

突然、大きな声で、言った。



「ヨシナカッ!!」



…………え??


今、


『ヨシナカ』って、言った??



わたしを含め、クラスのみんなが眉をひそめる中、

春蘭さんはフワッと軽やかに教壇から降りると、

まっすぐに、義仲の席に向かう。

義仲は相変わらず机に伏せて眠りこけていたが、彼女の気配を察したのか、ゆっくりと顔をあげる。


目の前にいる、その美しい留学生の顔を見て、

義仲は眉をひそめ、不機嫌そうに唸る。


「…なに?」


彼女は義仲の顔を正面から見据えて、

ニッコリとほほ笑み、呟いた。


「ようやく、会えた」


春蘭さんの台詞を聞いて、クラスの中に衝撃が走る。



…………は??



.

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