《MUMEI》 . なにも気づかないおじいちゃんは、春蘭さんに向かって言った。 「それじゃ、春蘭さんは、窓側の一番後ろの空いてる席に…」 言いかけた、そのとき、 春蘭さんの視線が一点に定まり、 パッと表情を明るくさせたかと思うと、 突然、大きな声で、言った。 「ヨシナカッ!!」 …………え?? 今、 『ヨシナカ』って、言った?? わたしを含め、クラスのみんなが眉をひそめる中、 春蘭さんはフワッと軽やかに教壇から降りると、 まっすぐに、義仲の席に向かう。 義仲は相変わらず机に伏せて眠りこけていたが、彼女の気配を察したのか、ゆっくりと顔をあげる。 目の前にいる、その美しい留学生の顔を見て、 義仲は眉をひそめ、不機嫌そうに唸る。 「…なに?」 彼女は義仲の顔を正面から見据えて、 ニッコリとほほ笑み、呟いた。 「ようやく、会えた」 春蘭さんの台詞を聞いて、クラスの中に衝撃が走る。 …………は?? . 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |