《MUMEI》 フィアンセ??. わたしが思い切り顔をしかめている隣で、 彼女は朗らかにつづけた。 「父から、話は聞いていまシタ。それからずっと、ずっと、早く会いたくて、香港を出てきた」 片言で話す彼女の話は、意味がよくわからず、みんな黙り込み、一心に耳をすませていた。 義仲自身も状況がのみこめていないみたいで、はあ??と険しい顔つきになる。 「俺、あんたのことなんか、知らないけど」 義仲の言葉に怯むことなく、彼女は誇らしげにほほ笑み、それから顔を近づけて、わたしは知ってた、と囁いた。 「父から、わたしのフィアンセである、あなたの話を、聞いてカラ、ずっと」 つづけざまに放たれた、その台詞に、 クラス中が、ギョッとする。 それはわたしも、例外では、なかった。 …………フィアンセ?? って! つまりは………。 「婚約者!?」 叫びながら、わたしは勢いよく椅子から立ち上がった。 . 前へ |次へ |
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