《MUMEI》 . 隣にいる春蘭さんは、キョトンとした顔をわたしに向けたが、すぐに聖母のようなほほ笑みを浮かべて、 「ハイ」 と、のたまう。 すると、 今まで黙り込んでいた男子たちが、一斉に騒ぎ出す。 「冗談だろ、オイッ!!」 「また櫻井かよッ!」 「片倉さんだけで飽きたらず、春蘭さんまで!!」 「夢だ!これは夢だ!!」 喚き散らす彼らの声の中、 めまいがした。 …………そんな、バカな! 青ざめているわたしをよそに、春蘭さんはおじいちゃんへ振り返ると、わたしの方を指差して、無邪気に言った。 「わたし、ヨシナカの隣!ここ、座りたい!」 ……………は? 『ここ』って、 わたしの席!? . 前へ |次へ |
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