《MUMEI》 . わたしは一瞬、固まり、 それから眉を吊り上げた。 「なに勝手なこと言ってんの!?あんたの席はあっちだっつーの!」 窓側の空席を指差して、唾が飛ぶくらいの勢いでまくし立てると、春蘭さんはとても悲しそうな顔をわたしに向けた。 「でも、わたし、ヨシナカのフィアンセ…」 「関係あるかッ!!」 言いかけた彼女の言葉を、ピシャリと遮り、物凄い目つきで睨みつける。 「フィアンセだかなんだか知らんけど、わたしの席はここ!あんたはあっち!」 春蘭さんはビックリしたようにわたしを見つめ、首を傾げた。 「大和撫子、穏やかで優しいと聞いてマス。でも、あなた、強い」 「うるさいッ!ほっとけ!!」 わたしが力いっぱい怒鳴ると、春蘭さんは泣きだしそうな表情を浮かべた。 . 前へ |次へ |
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