《MUMEI》

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巴は怯むことなく、彼に食ってかかる。


「当然でしょ!あんたみたいな有名人、知らないワケないじゃないッ!!」



…………え??



わたしは眉をひそめた。


「有名人、て…」



…………どういうこと?



ハテナ顔のわたしに、

巴が勢いよく振り返って、まえに言ったでしょ!と、叫ぶ。


「コイツが、男子校の『超危険人物』!!」


巴の叫び声に、

わたしの思考が、一瞬、止まる。



…………『超危険人物』って、


アレ、


ソウさんのことだったのッ!?



「…で、なにがどう危険なの?」


驚いたはいいが、危険であるその理由がよくわからず、わたしが冷静に尋ね返すと、

巴は物凄い剣幕で、おだまり!とわたしに向かって、また叫んだ。


「今はそんな話、してないの!!」


巴の反論に、わたしは顔をしかめる。


「今、思い切りしてたじゃん…」


小さな声で言い返してみたが、興奮している巴には届かなかったようで、彼女はソウさんを睨みつけると、唸るように言った。


「金輪際、寧々には近づかないでよ!次、ヘンなちょっかい出したら、許さないから!」


彼に凄んでから、巴はわたしの手を取り、行くよ!とクラスの女の子たちに一声かけて、ぐいぐいと引っ張っていく。


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