《MUMEI》
柊の未来予想図
「…家庭?」

「あ、う…そう、家庭」


柊は真っ赤になって頷いた。


「それはつまり、希と結婚するという意味か」

「いずれは…したいです」


(話、聞いてたんだ)


突然会話に入ってきた秀さんの質問にも


柊は、きっぱり言い切った。


「まずは立派な弁護士になる事だな」

「そうだね。最短時間で弁護士になって事務所開くか事務所のエースになってからだよね」


(条件…増えてないか?)


穏やかだが、大志さんは明らかにハードルを上げていた。


(あれ?)


そして、いつの間にか、税理士の田中さんは仕事を終えたらしく、姿が消えていた。


「それ、父さんにも言われました」

「だろうね」

「徹にも言われたんじゃないか?」

「はい… …でも、何故か慎さんと志穂さんからは何も言われないんですよね」

「「その分周りが言うから」」


(大変だな)


俺は、柊が、希先輩以外を好きな姿を見た事は、一度も無かったから


きっと、柊は永遠に、こういう事を言われ続けるのだろうと思った。


(まぁ、それでも二人が…

柊が、幸せなら、いいか)

俺は、それが一番だと思った。

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