《MUMEI》

ツッコミたいところは山ほどあるが、今はまぁ触れないでおく。

「ふぅん」

自分からこの話題にしたくせに、帝は気のない返事をした。

「ねぇ、剣。俺さ、何処で寝ればいい?」

部屋をぐるりと見渡しながら、帝はチラリと部屋の隅に置かれたベッドに目をやる。

「床に布団敷けば?」

冷たい口調になってしまったことは、許してほしい。

「俺、ベッドじゃないと眠れない」

なんてワガママなヤツなんだ。
俺はもう、怒る気にもならない。

「あっそ。じゃぁ、俺が下で寝るからいい」

それだけ言って、俺は部屋から出ようとした。

が。
帝が俺の腕を掴んでそれを阻止する。

「何だよ?」

無意識のうちに帝を睨んでしまう。

「別に、一緒に寝ればいいじゃん。ベッドで。」

何を言い出すかと思えば。

「………」

俺はもう、完全に言葉を失った。

「二人で寝れるサイズだし。このベッド。」

確かに、俺のベッドは何故かダブルサイズで、二人で寝れないわけじゃない。

しかし、だ。

「何が悲しくて男と添い寝しなきゃなんねぇんだよ?」

思わず本音が出てしまった。

「だって、床とか寒そうだし。」

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