《MUMEI》

ゲームが始まると、俺は無言。従って帝も自ずと無言になり、部屋には静寂が訪れた。

「うわっ………ありえねぇ……」

と思ったが、ゲームが始まってすぐ、俺はゲームオーバー。

「ふっ」

一人でブツブツ言ってゲームに抗議していると、隣で帝に笑われた。

「………もっかい勝負……」

俺たちがしているのは格闘ゲーム。
俺が長剣で、帝がニ刀流の剣士。

ワンラウンドめは、帝の勝利。

「いいよ。次も俺が勝つけど。」

自信ありげにニンマリと笑う帝を見れば、これまた本気で次も負けそうな気がしてくる。

「ま……負けねぇ……」

一人闘志を燃やす俺の横で、帝は余裕の笑みで俺を眺めていた。


「な………何で勝てないンだよ?……」

あれから、十戦やって、十戦全敗。
俺の闘志は燃え尽きたのだった。

「剣弱すぎだろ?」

クスクス俺を嘲笑う帝は、とても楽しそうで、どうも頭にくる。

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