《MUMEI》

-






「!」






フルアの背を見ていたリツが目を見開いた


が、ジンはそれに気付かなかった様だ



フルアの細い指が、ジンの左瞳の瞼を撫で

[ジン。お前は、今までの候補生とは違うね]

と、僅かに微笑をたたえて
小首をかしげた


「………」

ジンは視線を下に泳がせる


[良い瞳だ。澄んで、輝いている]



ようやくフルアが手を下ろし

ジンから離れた(リツがさりげなくジンに歩み寄った)






「どーでもいい話かもしれないけど…」

リツが口を開いた

「アンタ…人間か?」


「………」
ジンが顔を上げた


「翼…あるよな?背中に」


[………]


「翼が、二つ…翅有りの人間の生き残りでも、無いよな?」








[…鋭いな。確かに、私は]




フルアは








[堕天使だよ]
サラリと答えた。

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫