《MUMEI》
裁判所、到着
「はい、到着」

「ありがとう、志貴」

「いいわよ。祐也のスーツ姿見れたし。

後ろが静かだったら、もっと良かったけど」

「ハハハ」


(大丈夫なのか? 柊は)


柊は、裁判所に着いた時点でかなり精神的に疲れていた。


「じゃあ、帰りまた迎えにくるからね」

「あ、うん」


(俺はいいけど…柊は)


ヨロヨロと車から出てきた柊を見ると


「俺は大丈夫!心配しないでいいよ」


何故か柊は、満面の笑みだった。


「じゃあね、祐也」


志貴は苦笑しながら、エンジンをかけた。


(…なるほど)


志貴の車は裁判所から出ると、スピードを上げてあっという間に見えなくなった。


「で、帰り大丈夫なのか?」

「それなんだけど、事務所は関係者以外の人間極力入れたくないらしくて

だから、祐也には裁判所出るまでだけ一緒に行動してほしいんだけど…いい?」


「別に構わない」


(最初からどうでも良かったし)


本音を言うと柊が泣きそうだから、黙っておいた。


(俺、柊に優しくなったなぁー)


しみじみ、思った。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫