《MUMEI》

──いや、そないな訳あらへんよな。


命令するんはいつもの事やし。


せやけど──‥


『動かないで下さい』


あないに強い口調で言わんでも‥。


「もういいですよ」


「ぁ‥‥‥うん‥」


仕事早いなぁ‥。


「──お気をつけになって下さいね、このティーカップ──単品で買い換えると結構高いので」


「なッ‥」


あたしよりお金の心配かいな。


別にええねんけど、心配なんしてくれへんかて。


「──それでなんですが」


「──ん」


「分かってますよね?」


「何を‥?」


「フ‥」


「せやから何を‥!?」

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