《MUMEI》
マシンガントーク
女性は、柊並に緊張しているように見えたが


「君、綺麗ね。君も裁判?原告?被告?それとも、どっちかの関係者?」


口を開いたら


「スーツ似合ってるけど、まだ若いわよね?大学生よりも…高校生って感じ?

どうしてこんな所にいるの?

あのね、私はこれから裁判でね。ここで、弁護士さんと待ち合わせなの」


…マシンガントークだった。


(普通、これから裁判する人って、もう少し大人しくないか?)


「ね、聞いてる?」

「あ、はい」


俺が答えると


「私の担当の弁護士さん、若くてかっこよくて頭良くて、素敵なのよ。

今度結婚するなら絶対あの人がいいなって思う位」


女性は、マシンガントークを再開させた。


(柊、早く戻ってこい)


俺がうんざりし始めても、柊はまだトイレから帰ってこなかった。


「それでね… あ、」


(…?)


俺は、うつ向き始めた顔を上げた。


「いくら良い男発見したからって、ここでナンパは良くないですよ」

「すみません」


やってきた男性に言われ、女性は頭を下げた。


(なるほど)


男性は、女性の言葉通りの外見と、中身がありそうな弁護士だった。

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