《MUMEI》 実はドロドロ裁判が終わると、裁判官と記録係はすぐに部屋を出ていった。 相手の弁護士も、分厚い書類を封筒にしまい、灰原さんに頭を下げるとすぐに退室した。 「一年間、お疲れさま」 「ありがとうございました」 「…え?」 灰原さんと女性のやりとりを聞いて、俺はつい口を開いていた。 「あのね、祐也。裁判離婚は、最終段階なんだ」 「…最終?」 俺の言葉に、柊は頷いた。 続けて聞いた、柊の説明によると 離婚するのは、まず、本人同士や親戚、友人が入り話し合いで解決するのが一番で それが無理な場合、弁護士が入るのだが 裁判所に行かなくても、弁護士が入った段階で解決する場合もあるらしい。 そして、裁判の前に、調停という場で 調停委員と呼ばれる人間が間に入り、双方の話を聞いて解決する場合もあるという。 「さすが、よく勉強してるね。高校生なのに。 事務所見学許可がおりるわけだ」 「あ、ありがとうございます」 「イケメン弁護士なんて、灰原先生みたいね。ね、彼女いるの? 先生はこう見えて結婚しちゃってるから駄目だけど 年上嫌い?」 「結婚してるんですか!?」 前へ |次へ |
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