《MUMEI》
灰原さんの性癖
「どうしたの?祐也」


珍しく驚いた俺に、柊は驚いていた。


(いや、だって…全くそんな感じ…)


そこで、俺はハッとした。


(大さんや仲村さんと同じ人種か!)


既婚者で子持ちなのに、全くそれを感じさせない二人を思い出し


俺は納得した。


「何か、百面相してるけど、大丈夫?」

「あ、はい。すみません」


「そんなに俺、生活感無いかなぁ…
これでも、妻と高校生の娘いるのに」

「やっぱり…」

「やっぱり?」

「あ、いえ」

「ふーん…」


(な、何だ?)


灰原さんは、俺を舐めるようにジッと見つめてきた。


(柊は…)


「彼女、いますから」

「あら、残念。どんな子? 可愛い?」

「そ、そりゃ…」


(おい)


それから柊は、女性相手に希先輩の自慢話を始めてしまった。


「ハーフ?」

「あ、はい」

「美人だね」

「ありがとうございます」

「結婚前に会いたかったな」

「は?」

「いやいや、こっちの話。あっちの彼も良い男だけど、君みたいなタイプは初めて会ったから、一度味見したかったなと思って」

「はぁ…」


(この人、…そういう人種か)

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