《MUMEI》 灰原さんとの会話「美形は美形を呼ぶんだね」 「そうですね。柊も灰原さんも美形ですから」 「…」 (あれ?) 灰原さんは黙ってしまった。 「しっかりしてるのに、鈍いとこ、吹雪(ふぶき)に似てるかも」 「吹雪?」 「俺の娘」 「へぇ…」 (意外だ) 俺に似てるかはともかく 灰原さんの娘が鈍いなんて、信じられなかった。 「じゃあ、高山君借りるから、君は彼女とデート、楽しんできてね」 「彼女じゃなくて、友達ですけど…」 「…」 灰原さんはまた、固まった。 「? …あの?」 「君、高校生だよね」 「はい」 (何を今更…) 「おかしいな、あんな美人と二人っきりで、彼女じゃなくても、普通の健全な男なら …ムラムラしない?」 灰原さんは、小声で真剣に、俺に質問してきた。 「俺、普通じゃないんで」 俺はそう答えて、志貴の車に向かった。 その後、柊は灰原さんの事務所に行った感想を、『いろいろすごかった』と、興奮気味に語った。 それから、灰原さんは、俺の事を『不思議な子』と言って、『また会いたい』と、かなり興味を示していたと聞いた。 前へ |次へ |
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