《MUMEI》
悪魔退治
!!!?
それは一瞬の出来事。
ボヒュッという、空気が篭った様な音と共に、部屋中真っ赤な斑点が飛び散った。
それと同時にリョウは、耳をつんざく様な叫び声を上げてその場に倒れ込んだ。
左足から酷く出血している。
かなりの痛さなのだろう、顔を歪ませながら、加奈子を睨み上げるリョウが苦しそうに言った。
「お前…騙した、のか‥っ!」
一体何が起きたのかわからず、全く身に覚えのない事を言われた加奈子はパニックに陥り、ただガタガタ震えながら小さな悲鳴を出しているだけだった。
「アハハッ!!超ウケる!加奈子が騙しただってぇ!?」
加奈子が何も言えずにいると、変わりに美雪がリョウの質問に答えた。
「この女にそんな芸当出来る訳ないじゃん!バカが付くほどお人善しだよぉ?」
「みゆ‥き?」
振り返ると美雪も修二も笑っていた。
「シュウちゃんどういう事!?なんでそんなモノ‥」
目に入ったのは修二の右手。
音が響かないようタオルで巻かれていて全ては見えないが、それは明らかに銃だった。
「どうしてかって?言っただろう?俺は正義の味方だって。」
人を撃ったというのに、平然としていて全く悪びれた様子がない。それ所か、ヘラヘラ笑うその顔は恐怖すら誘う。
「だからって何でリョウを撃つのよ!」
ドクドクと、まるで止まる気配のない足の出血を何とかしようと、加奈子は躍起になりながら修二を睨む。
「わかってないなぁ‥正義に悪は付き物だろ?」
「ふざけないで!!」
「ふざけてなんてないさ。なんせそいつは悪魔だからなぁ。だから俺は退治しにきただけだよ。」
修二はニッコリ笑いながらリョウの頭に銃口を向けた。
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