《MUMEI》
卒業式まで
柊の中で灰原さんは憧れの人だから、柊が弁護士になれば、また会う事もあるだろうが


それは、今では無い。


今、俺がすべき事は、大志さんが元気なうちに、大志さんの仕事をマスターする事だった。


そんな、ある日


久しぶりに登校した俺は


「…卒業アルバムと、文集と… これ、は?」


先に担任から配られた二冊と同じくらい


分厚い、何かを志貴に渡された。


「祐也のメモリアル写真集!」

「は?」


俺は、中身を見た。


そこにうつっていたのは


まだ、顔を隠していた頃の、俺


素顔を晒したばかりの頃の俺


俺、俺、俺…


(高遠光じゃあるまいし)


「何で、こんな物…しかも、俺に」

「ファンクラブのリクエストで!それは、忍さんの分だから」


(いや、いらないだろう)


そうは思ったが、忍にはあった事をきちんと報告しなければならないから


一応、写真集の話もした。


《送る必要は無い》


(やっぱりな)


俺は、安心した。


《卒業式に、もらってやる》


安心したのは一瞬だけだった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫