《MUMEI》
卒業式の朝
そして、いよいよ


吾妻高校卒業式、当日になった。


『祐也、卒業おめでとう!

祐也の卒業式、行けないなんて寂しい!

しかも、高山本家でやる打ち上げ出ないらしいし!』


(お前も、卒業だろ)


早朝、枕元で確認した携帯メールは、柊からだった。


「変わったな。昔なら、無視だったのに」

「忍は変わらないな。相変わらず、ヤクザかホストだ」


寝起きの俺とは違い、忍は既に


中学の卒業式に来た時と同じ、スーツを着て、俺を見下ろしていた。


「早く支度しろ。朝食が冷める」

「あぁ」


そして俺は


入学式の時は余裕があったが


今は、やや袖や裾が足りなくなった制服を着た。


(この制服も、忍の手料理も、今日で最後か)


俺は、忍に『遅い』と言われながらも、ゆっくり味わって朝食を食べた。


そして、忍が運転する車で吾妻高校に向かった。


「祐也!遅い!」


校門付近は既に生徒やその保護者で溢れていたが


今日も、志貴は一際目立っていた。


そして、その隣には当たり前のように拓磨がいた。

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