《MUMEI》

□初夏の空□

ふと、空を見上げると、そこには大きな積乱雲が、もくもくと立ち上っていた。

一宮たちが転校してきたのが、四月の終わり頃で、今はもう七月の終わり。

一宮兄妹も、やっぱりまだ異常に目立つが、それでも学校には随分と馴染んだ。

それから俺は何故か、いつの間にかあの、無駄に五月蝿い一宮や宇佐美たちと居ることが多くなっていた。

別に、俺が好き好んで一緒に居るわけじゃない。
隣にいる双子の片割れ、一宮陽和が俺に懐いてしまったのだ。

どうやらもう一人の片割れ、和月を筆頭に、アイツらの世界は彼女を中心に回っているらしく、自ずと俺の周りに人が集まってくる。

そして、アイツらと居るようになって変わった事はまだある。

今まで一宮たちは俺を『伊山』と名字で呼んでいたのに、最近は『志遠』と名前で呼ぶようになり、俺もまた、彼女らを、下の名前で呼ぶようになった。

そして、アイツらのことで色々気付いたことがある。

まず、陽和が一度も体育をしたことがない。
体が弱いんだとか、怪我をしたからだとか、それについては何かと噂があるが、本人は何も言わないから、本当のところは分からない。

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