《MUMEI》
スイートルーム
卒業式が終わると、普通は担任の話を聞く為に教室に戻る。


…はずなのに。


「行くぞ、祐也」

「え?」

「卒業式は、もう終わった」

「いや、でも…」

「いいから、来い」

「わかった」


俺は、一人、体育館を出た時点で皆から離れた。


さすがの志貴も、まさかもう俺がいなくなるとは思わなかったらしく、かなり驚いていた。


(後で、謝ろう)


そう思いながら、俺は忍の車に乗った。


「どこ行くんだ?」

「まずは、着替えだ」


そう忍が言ったから


(てっきり部屋に戻ると思ったのに)


到着したのは、駅前に新しくできたホテル


の、スイートルームだった。


「風呂行くぞ」

「て、え!? 一緒に!?」

「やる事があるからな」


(風呂で二人で何するんだよ!?)


混乱している間に、忍は素早く俺を全裸にして


バスルームに運んだ。


忍は…


ジャケットだけ脱いで、ネクタイを外し、シャツの袖と、ズボンの裾を捲り始めた。


そして、一言


「背中を向けてジッとしてろ」


そう、命令した。

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