《MUMEI》 そして、次に帝から発せられた言葉で、俺の頭の中は、完全に真っ白になってしまった。 「俺ね。好きだったんだ。剣のこと。」 消え入りそうなぐらい細くて小さな声だったけど、抱き締められて、耳のすぐそばで囁かれたその言葉は、しっかりと俺の耳に届いた。 「………は?」 帝が抱き締める力を強くして、俺は後ろを振り返りたくても、振り返れない。 「帝……離せよ……何の冗談だよ?」 俺は、ずっとただの幼馴染みだと思ってた。 今日も、突然現れたコイツを、邪険にしたりもしたけど、本当は再会できて嬉しかった。 でも、コイツは、帝は違うのか? 出来る事なら冗談だと、嘘だと思いたい。 でも、それが、嘘では無いことを、俺を抱き締める帝の腕が微かに震えてる事が物語っている。 なら、いつから帝は俺をそういう風に見てたのだろう? いつから、いつから帝は俺を恋愛対象として見てた? 「み……かど……手、離せよ……」 帝は、俺を決して離そうとしない。 何が、俺の何が帝のストッパーを外させたのか? 俺には全く分からない。 さっきまで普通に、幼馴染みの関係だったのに。 ゲームして、遊んでただけなのに。 前へ |次へ |
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