《MUMEI》

そして、次に帝から発せられた言葉で、俺の頭の中は、完全に真っ白になってしまった。

「俺ね。好きだったんだ。剣のこと。」

消え入りそうなぐらい細くて小さな声だったけど、抱き締められて、耳のすぐそばで囁かれたその言葉は、しっかりと俺の耳に届いた。

「………は?」

帝が抱き締める力を強くして、俺は後ろを振り返りたくても、振り返れない。

「帝……離せよ……何の冗談だよ?」

俺は、ずっとただの幼馴染みだと思ってた。

今日も、突然現れたコイツを、邪険にしたりもしたけど、本当は再会できて嬉しかった。

でも、コイツは、帝は違うのか?

出来る事なら冗談だと、嘘だと思いたい。
でも、それが、嘘では無いことを、俺を抱き締める帝の腕が微かに震えてる事が物語っている。

なら、いつから帝は俺をそういう風に見てたのだろう?

いつから、いつから帝は俺を恋愛対象として見てた?

「み……かど……手、離せよ……」

帝は、俺を決して離そうとしない。

何が、俺の何が帝のストッパーを外させたのか?

俺には全く分からない。

さっきまで普通に、幼馴染みの関係だったのに。

ゲームして、遊んでただけなのに。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫