《MUMEI》

「こりゃ、たいそうな罠に掛かったもんだ。」


グレイドは苦笑しながら、
俺の側に舞い降りた。


「主様、こやつとはどういう関係で?」


牛は驚いて目を見開き、
俺とグレイドを交互に見た。


「ああ、見つかったんだよ。

アレのな。」


「そ、それは誠ですか!?」


牛はさっきのピットのように、
かなり驚いていた。


「そなたが…信じられん。」


俺を凝視する。


そして何かにはじかれたように、
唐突に謝罪した。


「先程は失礼致した。

我が名はバルトンと申す。

そなたの名は?」


「俺はクラウドです。」


「クラウド殿、先程は誠に失礼致した。」


またもバルトンは頭を深く下げる。


「だ、大丈夫ですから。」


本当は殺されかけたほど大変なことだったのに、
こうも丁重に謝られては調子が狂う。


「コイツはな、俺の一番の使い魔なんだ。」


すると突然、
グレイドの誇らしげな声が聞こえた。

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