《MUMEI》

「使い魔?」


「そうか、言って無かったな。」


グレイドはバルトンの頭を撫でながら言った。


「この世界に住む、
俺達種族に飼われている動物を総称して“使い魔”、
と言うんだ。」


「へぇ…。」


「んで、バルトンは俺のお気に入り。

攻撃能力も高いし、
スピードもある。

乗り心地も最高だしな。」


バルトンはグレイドに撫でられて、
気持ち良さそうに目を閉じている。


「で、そんなバルトンのいる罠に掛かったお前は……。

運がいいと言うか、
悪いと言うか……。」


グレイドは苦笑しながら俺を見る。


「この家が、罠多すぎるんですよ。」


俺はムッとして答えた。


幾らなんでもこの家は酷い。


数歩進んだだけでこの様だ。


これから先、
この家にお世話になるのかと思うと……。


正直、気が重い。


「まあそんなムキになんなよ。」


グレイドは高笑いをすると、
天井の扉に目を向けた。


「行くぞ。

早く話を終わらせたい。」

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