《MUMEI》
最後は笑顔で
「俺の居場所は、ここだよ」


俺はそう言って笑ったが


「祐也、寂しそうだよ」


柊は納得しなかった。


「祐也にそんな顔させた忍さんは羨ましいけど…
祐也が寂しくないように、私頑張るからね!」


(いや、もう十分なんだけど)


決意を固める志貴に、俺は苦笑したが


「そっか!そうだよね!」


柊は思い切り同意していた。


「…近所迷惑にならないか?」


俺は、話題をそらそうとしたが


「頼とエイミーは、高山本家」

「祐希には、ちゃんと先に謝っておいたから」


(そういう所は完璧なんだな)


「俺、着替えて寝たいんだけど、どうする?」


柊と志貴がどう答えるのか知っていながら、俺は質問した。


予想通り


二人とも純情だからすぐに真っ赤になり


志貴は『迎えに来てもらう』と言い


柊は、『…泊まる』と言った。


「わかった。またな、志貴」

「っ! うん、またね。おやすみ!」

「おやすみ」


俺と志貴のやりとりを見ていた柊は


『祐也、更に男前になってる』と、呟いていた。


「ふざけてないで、寝るぞ」


長かった一日は、ヘタレな柊のおかげで笑顔で終わる事ができた。

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