《MUMEI》
カノジョの余裕
.


休み時間になるたび、春蘭さんのまわりは男どもが群がっていた。


「春蘭さん、射撃のライセンス持ってるってマジ??カッコイイなァ!!」


「乗馬、好きなの!?偶然!俺も、好きなんだよね!今度、一緒に行かない??」


騒ぎ立てる男どもに、春蘭さんは柔らかくほほ笑み返していた。



…………チッ!


なんだ、あのオンナ!


ダッセー成金みたいな趣味ばっか!!


笑顔もウソくせーし!!



遠い場所から睨みつけ、フン!と鼻を鳴らしていると、

千影がわたしの席までやって来た。


「災難だったねー!」


呑気な声で話しかけてくる千影に、わたしは肩をすくめて、ホントだよ!と答えた。


「なんで、このわたしが、あんなオンナのために移動しなきゃなんないんだよ!!」


冗談じゃないっつーの!とため息をつく。千影は、春蘭さんの方を見ながら、まあねぇ…と曖昧に頷いた。


「…でも、義仲が嫌がらなかったのは、意外だったなァ」



…………ん??



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