《MUMEI》 . 千影はため息まじりに、そんなの…、とぼやく。 「付き合ってるって言わないでしょ」 …………なんですとッ!! 衝撃を受けたが、わたしにはまだ余裕があった。呆れ顔のふたりに、わたしは勝ち誇ったようにほほ笑んで言う。 「バカにしないでよね。それだけじゃないんだから」 なにかを匂わすように言い放つと、昌平がなになに!?と、食いついてきた。 「ふたりの間に、なにがあるの!?」 わたしはフフッと含み笑いをして、よーく聞きなさい、と高飛車に言った。 「わたしと義仲はね…」 わたしは彼らに、義仲と交わした《約束》について簡単に説明した。 一通り話し終えて、スッキリしていると、 昌平が水を差す。 「それ、告白じゃなくて、『契約』じゃん」 …………『契約』? わたしは眉をひそめた。 「なによ、『契約』って?」 尋ねると、今度は千影が答えた。 「守ってもらうかわりに、傍にいるってことでしょ?それって、カレカノって呼べるの?」 わたしは黙り込んだ。 …………え? . 前へ |次へ |
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