《MUMEI》

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わたしはムカッとして、そのノートを掴み、昌平の顔目掛けてぶん投げた。ノートは彼の顔に見事ヒットする。

よろめいた昌平を無視し、わたしは千影に向かって叫んだ。


「だ、大事なのは、お互いの気持ちでしょーがッ!!」


ムキになって言うと、千影が淡々と答える。


「その気持ちが、曖昧なんだってば。義仲から『好き』って言われてないんだから」



……………くっ!!!



なにも言い返せないわたしは、千影を恨めしげに睨む。彼女は呆れたように肩をすくめた。


「マジではっきりしておかないと、春蘭さんにもってかれるよ?」


急に、不安になることを言い出す。

わたしはドギマギしながらも、余裕のあるそぶりで笑ってみせた。


「そんなこと、ナイナイ!第一、あのオンナがマジでフィアンセだって決まったわけじゃないしさー!」


へーき、へーき!!と明るくあしらってみたものの、やっぱり不安だった。


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