《MUMEI》

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わたしが絶句してると、

春蘭さんは義仲にほほ笑んだ。


「タクシー、呼びます。あなた、わたしと一緒に乗ってホテルまで行く」



…………は!?



春蘭さんの台詞に、わたしが答えた。
慌てて、待て待て!!と遮る。


「話、おかしいだろーが!!」


怒り出したわたしを見て、春蘭さんは首を傾げた。



…………義仲だって、立派なオトコ!


それをホテルに連れ込もうなんて、


なんて嫌らしいッ!



わたしは春蘭さんを睨みつけて、つづけた。


「タクシーに乗るなら、ひとりで帰れるだろ!」


わたしの言葉に、春蘭さんは困った顔をする。


「わたし、日本語わからない。ドライバーと話、出来ません」


「だったら、そのメモ、運ちゃんに渡せ!話さなくても、わかってくれるから!!」


「ヨシナカいてくれた方が、安心です」


「他の下僕を連れてけっ!」


クラスの男子たちを指差しながら、いきり立って言い返すと、春蘭さんはあからさまにシュン…とした。

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