《MUMEI》

気がつくと朝だった。


昨日一睡もしてないのもあったけど、うっかり薬飲み忘れたのに爆睡してしまった。



しかもシングルベッドの上で隆志に羽交い締めの様にされながら眠れた事実が凄い。


まだ眠る隆志。

顎にうっすらと髭が生えていて、俺は指先でそこに触れてみた。

「んー…」

「ぐえっ…」


瞬間ギュッと抱きしめられて変な声が出た。
そして長い脚が俺に巻き付いてきて俺は完全に捕らえられた。
「離さねーぞー」

「緩めて!緩めなさい!」

幾らなんでも呼吸しずらくて苦しくて俺は隆志の背中を引っかいて訴える。

「フフフ、チュウしてー」
「するから緩めてッ!」


すると、ふっと隆志の力が抜けて、俺は深く深呼吸して


少しずり上がって唇を重ねた。







「惇が起きたらいの一番で言わなきゃならない事がある」

「はあ、何?」

俺は浴衣をスルリと脱ぎ、ベッドに座る隆志の方を向いた。


「拓海さん意識が戻ったんだ」


「なっ!」


「深夜惇の携帯にお袋さんから連絡あったんだ」


「…本当に?」


隆志は立ち上がり、俺を抱きしめた。


「よかったな…、もう大丈夫だって伝えてくれって言ってたよ」

「〜〜〜〜」






急いで身支度を整えて病院に行くと、兄貴は既にICUを出て個室に移っていた。



ちょうど眠ってしまったばかりだという兄貴の寝顔に体面し、俺は力が抜けて、腰が抜けて、とにかくホッとした。


物々しいモニターも一台に減ってたし、注射器のお化け点滴の種類も半分に減っていた。




お袋は昨夜俺の携帯に連絡した後帰ったらしい。


平山さんも間もなく駆け付けてくれて、本当に喜んでくれた。


俺は隣にいる隆志の存在を暖かく感じながらも、兄貴がこれから仁の死をどう捉えていくのか…


俺はどうしてあげれば良いのか…




猛烈に不安になった。

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