《MUMEI》
出会い頭に危険人物
.

それから、わたしは正面に向き直り、歩き出す、


と。



−−−ドンッ!!



出会い頭に、だれかとぶつかった。

鼻がもげそうなくらい、痛い。

わたしは悶絶しながら床にうずくまった。



…………いってー!!


鼻血が出たら、どーすんだよ!!



わたしは顔をあげ、だれかを睨みつける。


「どこ見て歩いてんだよ、タコ!!」


大声でまくし立てた、その正面には。


「あれ?」


聞き覚えのある、爽やかな声に、

わたしは青ざめる。


目の前に立っていたのは、

スラッとした身体つきの、男のひと。

彼がかけている、黒いセルフレームの眼鏡は、すごくよく似合っていた。



……………って!!


そーじゃなくて!



.

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