《MUMEI》

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わたしはガタガタ震えながら、彼の名を呼んだ。


「川崎先生ッ!!」


眼鏡の男…もとい、《川崎 宗一》先生は、非常勤で美術を担当している。

川崎先生はわたしを見て、ため息をついた。


「…なんかまえにも、こんなシュチュエーション、あったよね」


君も前方不注意だよ、と注意してきた。

わたしは返事をしなかった。
いや、出来なかった。



…………だって、


このひとは、


超☆危険人物だからッ!!



川崎先生は、一応教師として、この学園にいるけれど、

実は、

日本でも有名な、

『桜鷲会』と呼ばれる、

大やくざの幹部なのだ!!お偉いサンなのだ!!



なぜ、そんなひとが教師をやっているかというと…………。



川崎先生は座り込んでいる(腰を抜かしている)わたしの手を取り、立ち上がらせると、またため息をつき、


「面倒かけないでくれ。俺は義仲さんだけで、手一杯なんだから」


と、ぼやいた。



……………そうなのだ。


川崎先生は、

わたしの彼氏である、義仲の監視をするため、

この学園に、ひそかに潜り込んでいるのだ。



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