《MUMEI》

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うなだれていると、先生は、懲りないひとだな、とぼやく。


「まえにも言ったけど、その向こう見ずな性格は、どうにかした方がいい。今後のためにも」


わたしは言い返す余力もなく、ハイ…と素直に頷く。

先生はわたしの無気力さに呆れたのか、なんなのかわからないが、もう一度ため息をついて腕を組んだ。


「義仲さんに関わることを決めたのは君自身だ。俺はもう、再三忠告はしている。俺は口出ししないし、関知しない。今後、君がどうしようと、それは君の勝手だ」


くれぐれも俺を巻き込むなよ、と最後にしっかり釘を刺す。わたしはまた、ハイ…と力無く返事をした。

めずらしく、やたら元気のないわたしを心配したのか、川崎先生は立ち去るまえに、こう、言った。


「…お節介かもしれないけど、最後にひとつだけ。今回の李 春蘭の来日は、義仲さんとの縁談をすすめるためのもの。それは、桜鷲会会長の御意向だ。邪魔をしたら、会長が黙っていない」


わたしはゾッとした。

『桜鷲会会長』っていうのは、つまり組長サンのこと。突き詰めて言えば、義仲のお父さん、ということになる。


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