《MUMEI》

.


…………てか、


黙ってないって、


それって、


コンクリ詰めにされて東京湾に捨てられたり、


滅多に寄港しないマグロ漁船で一生働かされたり、


海外に売り飛ばされたりしちゃうってこと!?(←偏見)



白目をむいているわたしに気づかず、先生はつづけた。


「それに、『マフィア』は俺たち『やくざ者』とは違う。仁義を知らない、冷酷なヤツらだ。巻き込まれたら、無事に済まないかもしれないぞ」


先生が行ってしまってからも、わたしは廊下に立ち尽くしていた。



『マフィア』

『やくざ者』



…………なんだか、急にはっきり見えてきた気がした。



義仲は、あんなアホでも、


やくざの跡取り。


そんなひとが、フツーの生活を送れるわけがない。


しかも今度は、


マフィアの娘が現れて、


昔、川崎先生が言った通り、


どう考えても、わたしとは『世界』が違う………。



わたしは言いようのない不安を覚えて、

深いため息をついた。





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