《MUMEI》 ミッション1「こんばんは。」 鮎子さんが懐中電灯を向けてきた。 「こんばんは……」 顔が引き攣って笑えない。 「もう、関わらないんじゃないの?」 「い、嫌です。 我が儘にしか聞こえないかもしれませんが俺には七生が必要で、それは七生もそうなんです。 七生に決めてもらいますけど、七生には七生らしい生き方があって、北条の家は……その、七生を自由に出来ない。だから、七生は渡したくありません。」 今日は、この間より気持ちを伝えられた。 「貴方……、七生さんが好きなの?」 「はい!」 あ、つい勢いで答えちゃったけど大丈夫かな。 「修平さんが好きな訳じゃ無いのね?」 「はい?」 真顔で言われた……。 「修平さんのことどう思う?」 鮎子さん、この間みたいな凄みが……! 「七生のお父さんです!」 「修平さんに色目使ってないわね!」 「はい!」 「ハニートラップとか仕掛けたりしてないわね!」 「はい!」 「じゃあ許す!」 「有難うございます!」 よく分からないやり取りを繰り返した。 鮎子さんの当たりの強さは嫉妬からだったのか……とか。考え過ぎ? 前へ |次へ |
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