《MUMEI》
『常世高校』の男
.




−−−先程の、川崎先生の意地悪な話のこともあって、


わたしは普段の業々しい雰囲気を消し、

まるで地縛霊のような黒いオーラを纏って、

駅へ向かっていた。



…………あぁ。


これから、どうしよう…。


義仲を春蘭さんに奪られるのは癪だし、


かといって、マフィアは怖いし、


それにわたしが、義仲と春蘭さんをめちゃくちゃにしたら、


川崎先生とか、桜鷲会の構成員だって、黙っていないだろうし。



「ドン詰まりじゃないの…」



ひとりでぼやいて、落ち込んだ。


すると、

背後から、



「…あのっ!」



男の声が、飛んできた。


わたしはげっそりした顔で、ゆっくりと振り返る。



−−−そこには。



見知らぬ男がひとり、立っていた。


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